業者を通さないため、伊藤さんのように火葬場も自分で予約しなければならない。
「民営の火葬場は個人での予約を受け付けていないところがほとんどなので、公営の火葬場を予約する必要があります。ただ、東京都23区の場合、公営の火葬場は2か所のみで、待たされるケースも少なくありません。費用は故人が住んでいた区によって異なりますが、4万円から利用可能です。23区外には公営の火葬場が多く、自治体によっては住民であれば無料の火葬場もあります」(葬儀関係者)
火葬までに忘れずにしておかなければならないのが、「死亡届」の提出だ。死亡から7日以内に故人の本籍地か届出者の現住所、死亡した場所のいずれかの役所に提出し、そこで火葬許可証の交付を受ける。これがなければ火葬はできない。無事に火葬が終われば「埋葬許可証」が発行され、納骨のステップに進むことになる。
手作り葬を行う人は、僧侶を呼ばない人も多い。僧侶を呼ばないと菩提寺の墓に入れないのではないかと不安を覚える人もいるようだが、葬送・終活ソーシャルワーカーの吉川美津子さんはこう話す。
「実際に“墓に入れてもらえなかった”というケースは聞いたことがありません。直葬が増えているなかで、本当にそんなことがあれば、以前から相当関係が悪かったということでしょう。納骨時にいきなり連絡をすると難色を示される可能性はあるので、“諸事情で今回は身内のみで葬儀を行います。納骨については改めてご連絡します”などと、一報を入れておく方がいい。新たにお墓を用意する場合は、自宅で管理してゆっくり探しても問題はありません」
いまや葬儀のカタチに決まりはない。生前から話し合っておきたい。
※女性セブン2020年11月19日号