家族信託は、委託された者さえしっかりしていれば老親が認知症になった後も安心して過ごすことができる。
ただし、家族信託は必ずしも万能ではない。契約する段階では「委託者本人が認知症になっていないこと」が条件で、申し立てをした公証役場で本人へ信託契約についての概要を理解できているかなど、その時点での判断力が厳しくチェックされる。
また、受託者となった者には財産管理の責任が生まれ、損失を出すと補填を求められることもある。さらに、信託監査人を選任しないと受託者が財産を使い込んだとしても外から分かりにくい。
認知症の親の資産を守る制度の利用はタイミングが重要だ。メリットとデメリットをよく理解した上で使いたい。
※週刊ポスト2020年11月20日号