米大統領選で民主党のジョー・バイデン氏が当選を確実にした。トランプ政権は終わりを告げることとなるが、振り返ると、大規模な公共投資など“ばらまき”に走ったトランプ大統領は共和党としては、例外的な存在だったといえる。共和党は伝統的に、規制緩和によって民間の競争を促す「小さな政府」を志向し、減税に力を入れてきた。
一方の民主党は増税してでも国家財政を膨らませ、財政出動に積極的な「大きな政府」を志向する傾向が強い。『経済界』編集局長の関慎夫氏が指摘する。
「バイデン氏もコロナ対策を最優先するため、財政出動は不可欠と考えており、結果的には新政権下でも財政赤字が加速する見込みです。その場合、米国が抱える貿易と財政の双子の赤字を是正するため、ドル安誘導策を取らざるを得ない。ドル安で円高が加速すれば、自動車メーカーをはじめ日本の輸出産業には痛手となる」
それだけではない。経済アナリストの森永卓郎氏が指摘する。
「バイデン氏が目指す大企業や富裕層への増税が実現すれば、景気の失速は避けられない。現在の株式や不動産のバブルが崩壊に向かう可能性が高まるでしょう。
米国株式市場を見ると、株価の割高・割安を判断する『シラーPER』指標は、78か月間連続で割高とされる25倍超の水準となっている。いつバブルがはじけても不思議ではない状況なのです」