11月10日に全労連(全国労働組合総連合)が発表した中間集計では、今年の「冬のボーナス」は過去10年で最も低く、リーマンショックを下回る下げ幅になるという。新型コロナウイルスの影響を受けた今年の冬、誰もが知る有名企業のサラリーマンでさえかつてない“大寒波”に見舞われている。
〈冬期臨時手当の支給は行わないこととします〉
〈全員が一丸となって立ち向かっていきましょう〉
これは社員約1万3000人を抱えるJTBの社内報で6月29日に発表された内容だ。同社の冬のボーナス全額カットは、少なくとも日本交通会社から現在のJTBになった1989年以降で初だという。40代社員がコロナ禍の業務状況を語る。
「緊急事態宣言が出た4~5月は全く出社がなく、その後も平日のうち2日は国から助成金対象となる休業でした。最近は出社の割合も増えてきましたが月5日の全社休業日があり、事実上の週休3日制が続いています。
労組もボーナスゼロに当初は反発していましたが、今回は状況が状況。会社側はボーナスカットに加えて、人件費削減の方針も示していたので、ボーナスゼロについては妥結する方針に切り替わりました。今はGo To キャンペーンで個人旅行の成約数が回復してきたこともあって、社内は少しずつ前向きなムードが戻ってきた。ただ法人営業は相変わらず苦戦しています」
航空業界では、ANAホールディングス、スカイマークなどが、冬のボーナス支給を見送る方針を発表している。
観光業では、東京ディズニーリゾートの運営会社であるオリエンタルランドが約4000人の正社員と嘱託社員の冬のボーナスを当初計画より7割カット。
同社は当初、労組側に全額カットを提示したが、7割減で妥結したと伝えられている。中でも苦境にあるのが数百人いるダンサーで、窓口業務に異動するなどして難局を凌いでいるという。