スパリゾートハワイアンズグループを運営する常磐興産も5割カット。ワシントンホテルやホテル椿山荘を運営する藤田観光は、本誌取材に「ボーナス支給対象者全3139人に、冬のボーナス不支給を決定した」と苦渋の決断を明かした。
インバウンド需要が蒸発したことで、百貨店も苦境が続いている。J・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店は、冬のボーナスを5割カットすることが決まった。
出店企業にも影響が広がる。百貨店内に出店する大手アパレル勤務の20代女性はこう話す。
「客足は遠のいたまま。出店先のデパートがこんな状況ですから、会社からは『ボーナスは諦めて』と言われています」
外食業界も、寒風にさらされている。夏に続き冬もボーナスゼロとなったラーメンチェーン幸楽苑の40代社員はこう嘆く。
「夏冬合わせて約150万円のボーナスがゼロに。住宅ローンのボーナス返済を組んでいるので、本気で転職を考えていますが、辛い企業は他にもある。受け入れるしかありませんでした」
そんな中で“安泰”となったのが国家公務員。年間の下げ幅は「0.05か月」という超微減で済んでいる。
「公務員のボーナスは、人事院が民間企業の数字を基準に決めることになっていますが、この“微減”で民間の現状を反映できているのかは甚だ疑問です」(『経済界』編集局長の関慎夫氏)
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号