もし宝くじに高額当せんしたら、その使いみちはどうするだろうか。日本に比べて最高当せん金額が高いことが多い海外の宝くじでは、その当せん金を寄付する人も少なくないという。
累積赤字で苦境に立たされていたスコットランドのサッカーチーム「パーティック・シスル」を救ったのが、2011年に1億6100万ポンド(約136億円)の当せん金を、ヨーロッパ2大宝くじの一つユーロミリオンズで獲得したコリン・ウェアー夫妻だ。
コリン氏が、その時点で史上最高額のユーロミリオンズの当せん金を手にしたのは、テレビカメラマンの仕事を退職した63歳の時だった。
サッカーファンだったコリン氏は当せん後、経済面で同チームを支え続け、パーティック・シスルのホームスタジアムは「コリンウェアースタンド」と改名した。他にも、スポーツセンターや老人ホームへの援助、慈善団体の設立などに多額を投じ、株式投資で資金を運用した。
しかし、幾度となくメディアに出演し、仲の良さをアピールしていた夫妻は、2019年4月、38年間の結婚生活に終止符を打った。同年末、短い闘病の後にコリン氏が死亡すると、サッカーチームは、ホームページで「スコットランドの愛国者、篤志家、最後までジャグス(チームの愛称)マンだった。安らかな眠りを」と最大級の弔意を示した。そして、サッカースタジアムにはコリン氏に追悼の意を表した横断幕が掲げられた。
ちなみにコリン氏と元妻は2014年のスコットランド独立の国民投票のための賛同キャンペーンに100万ポンド(約1億3600万円)を寄付している。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号