落ち着け、冷静になれとくどいほど諭されると、冊子の後半でようやく前向きな話が出てくる。
《まず決めておきたいことがあります。それは、当せんしたことをだれに知らせるかということです》
ローンや借金などの返済計画を立てたうえで、自身の将来設計とともに、使いみちを考えていく。
《お金はお金でしかありません。お金は何かほかのもの、あなたの人生を幸せにするものに換えてこそ価値を持つものです。だからこそ、後悔しないような当せん金の使いみちをじっくりと考えてください》
ファイナンシャルプランナーや税理士、時には心理カウンセラーといった専門家の力を借りながら、巨万の富を賢くコントロールせよと説く。
《当せんしても、自分は自分──そう考えて、今までのあなたに戻りましょう》
《当せんは、あなたにとってすばらしい幸運でした。でも、当せんが人生のすべてというわけではありません》
大金を得ても、元々の性格は変わらないとも書かれていて少しホッとするが、庶民の夢は叶ってみると、意外と楽ではなさそうだ。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号