ネットが普及して以降は、直接人と対面することなく物事が完結するようになった。コロナ禍でそのメリットが注目を集めているが、平時ではコミュニケーション不足の要因にもなっている。IT企業に勤務する40代の女性会社員・Bさんはこう回想する。
「ネットがない時代は、なんだかんだ、人と会っていましたね。友人とゲーセンに行ったり、ファミレスで朝まで話しこんでいたり……。よく親の目を盗んで家の電話で長電話もしました」(Bさん)
デジタルシフトが進むなか、モノへの執着も薄れつつあるように思えるが、かつては一度買ったものは、大切に何度も使うのが当たり前だった。
「ラジオやCDから曲を録音したテープを編集して、テープのラベルも手作り。オリジナルのカセットを作って友だちに配ったこともありました。雑誌は隅から隅まで読むし、漫画も繰り返し読みました。今ネットで漫画を読むようになると、あんまり大切に読む感じはなくなりましたね……。それが嫌で、今でも好きな漫画は紙で買っています。使い分けですね」(Bさん)
Aさん、Bさんの2人とも、今の時代の利便性を体験してしまうと「もう昔には戻れない」と話す。それでも、ネットがなかった時代ならではの幼少期の体験は、忘れがたいようだった。