「本場のヨーグルト」を日本へ
──明治はロングセラー商品が多数ありますね。
川村:2009年に明治乳業は明治製菓と経営統合しましたが、どちらの会社も先輩方から「新しい市場を創る伝統」を受け継いでいる。それが財産となって現在に活きています。実は当社のロングセラーには、「業界初」という形容詞が付く商品が多いんです。
──たとえば?
川村:1971年発売の「明治プレーンヨーグルト」は、日本で初めての無糖ヨーグルト商品でした。「本場のヨーグルトを伝えたい」という当社の熱意をブルガリア政府に伝え、1973年からは「明治ブルガリアヨーグルト」の名前を冠することができました。
最近よく売れているプロテインブランドの「ザバス」は、発売開始が1980年で、実は40年の歴史があります。将来的な健康志向の高まりに最も早くから着目したことで、強いブランド力を維持しています。
1998年に発売した高カカオチョコの「チョコレート効果」は、最初の10年の売り上げは年間10億円程度でしたが、2015年前後からグッと伸びました。アピールポイントの「高カカオポリフェノール」が、やはり健康志向で注目されたからです。今では「チョコレート効果」の売り上げは年間約150億円。粘り強く販売を続けたことが実を結んだと思います。
──健康志向は新型コロナでさらに高まっている。
川村:お客様の体調管理意識が高まったことで「プロビオヨーグルトR-1」が爆発的に売れています。関東・甲信越地区で先行発売していた大容量の「プレーンタイプ」も販売が好調で、10月から全国展開を開始しました。
──消費者のニーズを捉えるポイントは?
川村:当社の場合、売れるかどうかわからなくても「社会にとって価値がある」という信念から商品を生み出してきたことが奏功しています。
どこかがヒット商品を出せば追随商品が出てくるのは世の常ですし、もちろん当社にも追随型の商品はあります。しかし最後まで生き残るのは、やはり新しい市場を切り拓いた商品なのだと思います。