2021年度は「大学入試改革元年」となり、従来の「大学入試センター試験」に代わる「大学入学共通テスト」が導入される。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、大学受験生の志望校選びにも、大きな影響を与えている。
大学入試制度に詳しい「大学通信」の安田賢治さんが語る。
「今年の受験生は、入試改革と同時にコロナショックが重なり、気の毒でなりません。ほとんどの大学でオープンキャンパスが中止となり、合同説明会も行われていない。志望校を選ぶ機会が失われているのです。スポーツ推薦を狙っていた受験生も、大会がなくなって推薦資格が得られないという事態に陥っています」
東進ハイスクール広報部長の市村秀二さんも指摘する。
「例年ならほとんどの大学が6月には入試要項を発表しますが、今年は8月末まで出ないところもあった。予備校においては、模試を中止したりオンラインに置き換えたりするところも多く、正確な実力が把握できないという声も上がっています」
今年、“受験戦線に異状あり”なのは間違いない。そんな中、受験生はどうやって志望校を選んでいるのか。
「今年の変化は大きく2つ。まず、自宅から通える大学を選ぶ『地元志向』です。これまでも少子化や経済的な理由で地元の大学を選ぶ傾向はありましたが、東京や大阪など、感染者が多い都市部を避けようとする動きが加速しました」(安田さん・以下同)
もう1つの変化は「理高文低」。理系学部が受験生の人気を集め、文系学部の志望者が減っているのだ。
「1年前の2019年はまったく逆の『文高理低』でした。コロナ禍では、文系学生に人気の観光系や国際系の就職先が採用を見送っていることが大きいと言えます。一方、理系の医学部や薬学部、看護学部のほか、理学療法、作業療法など国家資格に結びつきやすい学部・学科が人気を集めています」
いまの受験生は就職の現状を見越したうえで学部・学科選びをしているのだ。