子供には自分より高学歴になってもらいたい――。我が子に高い学歴を手にしてほしいと願い、教育熱心になる親は少なくない。だが、その気持ちも行き過ぎると、ときに逆効果になるケースもある。
飲食店の料理人として働く20代の男性・Aさんは、少し変わった経歴の持ち主だ。浪人して合格した地方国立大学の理系学部を1年で退学し、都内の私立大学の経済学部に入学。卒業後、専門学校に通い現在の料理人という道を選んだ。紆余曲折の背景には親への反発があったという。
Aさん曰く、中堅私大卒の父親は、偏差値の高い私大はもとより旧帝大にコンプレックスがあったようで、「子供の大学受験でリベンジしようと必死だった」という。小学校から塾に通うことになり、深夜まで勉強をさせられることもあった。Aさんが少しでも弱音を吐くと、父親に「もっと努力しろ」と怒鳴られた。
「1歳上の兄が旧帝大に進学して、父の悲願を達成。僕は地元の国立大に進学してそれで満足したかに思えたのですが、その後も父は就職先や結婚相手まで口を出してきて、うんざりしました」(Aさん)
地元でバイトしてお金を貯めて、逃げるように都内の私立大学に再入学したAさん。卒業後の進路は「学歴が関係ない世界を目指す」ことを父親に告げた。すると、「お前は息子ではない」「俺の投資が台無しだ」などと激昂されたという。