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愛犬を咬んだ犬の飼い主と示談交渉 散歩経路の制限は可能か

 ところで、ペットは法的には動産です。動産が第三者の責任で損壊した場合、賠償請求できる損害は失われた財産的価値だけで、修繕できるときは修繕費です。ペットなら治療費となります。しかし、例外的に特別思い入れのある動産だと、損壊による精神的打撃も大きく、そのことを加害者も知り得た場合には慰謝料請求ができます。

 人生の伴侶ともいうべきペットの死亡事故では、少額ですが飼い主の慰謝料が認められた例があります。死ななくても悲惨な事故を目の当たりにしたり、後遺症が残ったりして、飼い主の精神的苦痛が大きい場合には、慰謝料が認められる場合もあると思います。そこで、言葉を尽くしても相手が大型犬2匹一緒の散歩をやめない場合には、慰謝料請求もする姿勢を示して交渉することも考えられます。

 なお飼い主の不注意で犬が人を咬んでけがをさせると過失致傷になる可能性があるので、事故防止の観点から警察に相談するのもよいでしょう。大型犬2匹を一緒に散歩させる危険性を理解させることができれば、飼い主に何らかの指導がされることも期待できます。そこで咬傷事故の状況の説明メモや愛犬のけがの診断書、散歩している危険な様子がわかる動画などを用意して相談してはいかがでしょう。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2020年12月17日号

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