IT関連企業に勤める20代の男性・Bさんは、もともとゲーム実況やものづくり系動画、声優などの動画を好んで見ていた。メイク動画にはまったく興味がなかったが、あるとき衝撃的な出会いを果たすことになる。Bさんが好きな声優の動画で「メイク回」があったのだ。
「正直、通知が来たときは視聴するか悩みました。僕には用がないかな、と。でも、見てみると、内容はよくわからなかったですけど、ただただ可愛い。素の部分や私生活が垣間見えて、視聴後はその声優のことを前より好きになりました」(Bさん)
「完成に向けワクワクしてくる」
Bさんは声優のメイク回を皮切りに、「整形メイク」「毎日メイク」「地雷メイク」など、さまざまなメイク動画を視聴するようになったという。メイクの知識はないが、多くの動画を視聴してしまう背景には、Bさんの好きな動画との共通点があるようだ。
「プラモデルを塗装する動画や料理動画が好きなんですが、それらとすごい近い感じがしています。一つ作品が完成していく様子が見られることにとても魅力を感じています。メイク動画はアートで、完成がどうなるかワクワクしてくるんです」(Bさん)
PR会社に勤務する30代の男性・Cさんは、偶然視聴した芸能人のメイク動画から、ビフォーとアフターの“変身”が面白いことを知った。
「数十分で劇的なビフォーアフターを目にすることになります。日常生活で、そんな様変わりを目にすることなんてあまりない。動画ではすっぴんを見てから、完成まで飛ばしてその差を楽しんでから、もう一度その過程を楽しみます」(Cさん)
Cさんは、メイク動画を視聴するようになって、女性への発言に気を付けなければならない、と思うようになった。
「女性は、自分のコンプレックスとの闘いや可愛さの追及を目的に、これだけメイクに労力とお金を費やしている。不用意に『すっぴんが好き』とか言ってはいけない気がしてきました……」(Cさん)
メイク動画というジャンルを発見してしまった男性たち。未知の領域に足を踏み入れたことで、価値観の変化を実感する人も少なくないようだ。