毎日顔を合わせ、何食わぬ顔で笑っている妻が、もう何十年も前から虎視眈々と離婚の好機を待ち続けている……そんなドラマのような話が現実のものになっているようだ。女性誌では「賢い離婚特集」が次々と組まれ、妻は夫の知らぬ間に離婚に向けた準備を始めているかもしれない──。
男はどうすればいいのか。離婚を切り出された時にはすでに手遅れというケースもある。フラクタル法律事務所代表の田村勇人弁護士が語る。
「よくあるのは、離婚を覚悟した妻が事前に夫の預金から少しずつお金を引き出すケース。中には、毎月の給料を全額引き出した後、口座引き落としされる額だけ預け直す妻もいます。手に入れた現金は妻が自分の両親に預けるなどして隠します。
銀行口座ではなく現金で保管されると追跡できず、夫は離婚宣告されてから自分の口座を見て青ざめることになります」
お金のことを妻に任せきりの夫は、「定年時の財産チェック」をしておいたほうがいい。
「退職の際に家の全財産を確認し、表などにまとめておくことが大切です。定年時なら、『今まで任せきりで悪かった。老後のことは一緒に考えよう』と妻に告げれば、財産の開示をさせやすい。もし妻が嫌がったら、財産を隠している可能性があるので、妻の不在時に家捜しをしてみるのも手です」(田村氏)
妻の隠し財産を見つけるにはコツがある。
「把握している全口座を確認し、電気ガス水道などの引き落とし履歴がなければ、“隠し口座”を疑う。また家計用の口座から妻名義の口座にお金が振り込まれていないかも要チェック。
記録が残らないように妻が一度、現金を引き出してから別の金融機関の自分の口座にお金を振り込むことが多いので、妻を尾行して銀行と支店名を押さえれば離婚協議で有利な証拠になります。リタイア後の余った時間を財産チェックと家捜しに活用しましょう」(田村氏)
※週刊ポスト2020年12月18日号