体調面については主に受験生側が考慮すべき問題として、会場での検温は義務化されていない。とはいえ、数千人単位の若者が一同に集められることから、感染リスクの高まりも懸念される。「令和3年度 大学入学共通テスト 試験場一覧」を見ると、1月16・17日は新潟大学試験場の3882人を筆頭に、1000人、2000人を超える受験生が一同に集まる試験場も少なくない(東京の最多は、東京大学本郷試験場の2826人)。
熱があっても隠して受験に来る?
試験会場となる全国の大学では、今まさに共通テストに関する打ち合わせや会議が行われている。各会場ともに、試験監督をするのは当該大学の教員たちだ。教授や准教授だけでなく、大学によっては任期付きの専任講師や助教も駆り出される。大学入試業務や期末試験の採点、卒論、修士論文の審査、新学期に向けた会議など、1月は大学教員の仕事量が激増するシーズンでもあり、負担は少なくない。
例年、カンニング防止や公平性の担保のため、各大学では入学試験に備えた研修などが行われているが、今年はさらにコロナ対応に多くの時間を取られている状況だ。
複数のキャンパスを抱える都内私立大学の教員・A氏(40代)は、目下の状況についてこう語る。
「約5時間のオンラインミーティングで共通テスト対応についての会議が行われました。検温は受験生の自主性に一任されていますが、懸念は残ります。
受験生にとって共通テストは重要なライフイベントです。たとえ、当日の朝に37.5度以上あったとしても、追試験を申請せず、会場に来ることもあるでしょう。昔は、『熱があっても、這ってでも行け』という時代でしたが、今年は多少の熱があってもそれを隠して受験に来る生徒もいるかもしれません。
うちの大学では、秋から学生用の非接触体温計を設置していますが、共通テスト時は『数千人が訪れるなかで検温を行うと“密”が発生するため、検温は行うな』と指示がありました。結局、受験生の自己申告に任せるということで、教員の間でも疑問の声が上がっています」(A氏)