キャリア

大学入試共通テスト“受験生任せのコロナ対策”に教員たちの不安

すし詰め状態で2日間の往復は必至

 また、別の都内私立大学の教員・B氏(40代)は、“濃厚接触者の受験生”への対応に、困惑の色を隠せない。

「今回、大学からは濃厚接触者の受験生は別室で受験させるようにと通達がありました。しかし、教室での主任監督を行うのは基本的に教授陣、つまり年配の方が多いわけです。この場合の、教員の感染リスクはどのように考えるべきなのでしょうか? 教員一人がダウンすれば、担当講義を受講している千人単位の学生にも支障をきたします。

 マスクをつけて会話を減らせば感染リスクは少ない、と文科省は言っていますが、昼食は各自の席で取ることとなっていますし、飛沫感染のリスクもゼロではない。昨年、うちの学部ではセンター試験監督を行なっていた高齢の教員が、監督業務後にインフルエンザに罹患したケースもあるので、不安材料でもあります」(B氏)

 一方、東京郊外の私立大学の教員・C氏(30代)は、共通テストに際して公共交通機関の“密”を不安視している。

「私が勤務する大学は、立地上モノレールを使って通う学生が大半を占めるため、普段から講義の前後の時間帯は駅のホームに学生が溢れている。うちの大学だけではなく、隣接する他大学も同様です。受験生はすし詰め状態になって2日間の往復をすることが確実視されるため、テスト会場だけでなく交通機関の“密”も見過ごせません。

 こうした状態の交通機関を利用した若者が、無数にキャンパスに入校する以上、検温を義務付けるべきではないでしょうか? マスクと消毒液だけでどれだけクラスター対策できるのか分かりません」(C氏)

 このほか、地方の大学教員にも取材を試みたところ、「学生の精神状態を優先し、あくまでも例年通り行うことと強調された」、「例年支給されていた試験監督教員向けの控え室がなくなり、水やお茶などの支給もなくなった」、「教員は1週間前からの体調管理と自主検温が指示されている」といった声が聞こえてきた。

 テスト様式の変更で受験生が混乱するなか、会場提供と試験監督を一任される大学でもコロナ対策に紛糾しているようだ。

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