新型コロナウイルスの感染拡大によって、全国の大学が軒並みオンライン講義を導入している。従来型の大教室での講義や、白熱した議論を交わすゼミなどの講義形態に対して、教員の熱量が伝わりづらいと言われるオンライン講義だが、その一方で教員の負担は以前よりも増大しているという。
2020年4月以降、全国の大学で実施されている講義の形式は、主に対面授業、遠隔(オンライン)授業、そして対面と遠隔を組み合わせた「ハイブリッド型」の3つに分けられる。
教室で実施される対面授業に対して、遠隔授業には、「双方向型」(リアルタイムでZoomなどを使って受講)、「オンデマンド型」(PDFや動画などの資料配布)の2パターンがある。そして、新型コロナへの感染リスクを懸念し、遠隔受講を希望する学生とその保護者のニーズに応えるのが、「対面+遠隔」を組み合わせたのがハイブリッド型だ。
教員からは「ハイブリッド型は一番労力がかかる」という声も聞こえて来る。関東の私立大学の助教・Aさん(30代男性)はこう語る。
「現在、ハイブリッド講義を担当していますが、これがとても大変。感染リスクを恐れて大学に来たくない学生もいるため、一度の講義で対面の学生と遠隔受講する学生の両方に向けて授業しなくてはいけません。
教室では2台のパソコンを用意し、それぞれ別のアカウントでZoomに接続します。1台はメインで画面共有を行いオンラインで受講する学生に授業のパワーポイントを表示する。もう1台は、プロジェクターに接続し、教室の学生とオンラインの学生をつなげ、画面越しに議論させたりします。
中には自宅のネット環境が悪く、リアルタイムで受講できない学生もいるため、中継配信した動画データをアップロードし、動画配信という形でオンデマンド教材を作り、講義後に配布しています。このように、対面+遠隔+オンデマンドという3つのオーディエンスに向けての授業とその準備が必要になります」