景気のパラダイムシフトは「30年周期」で起きる──“経済の千里眼”の異名を持つ経済評論家・菅下清廣さんは常々、そう語ってきた。バブルが崩壊し、日本が大不況の長いトンネルに入ったのが1990年。それからちょうど30年が経ち、2020年には「新型コロナ・ショック」が起きた。これを機に次の景気局面に入った現在、いままでとはまったく違う次元で「新しいお金のリテラシー」を持つべきだと菅下さんは指摘する。お金持ちの第一歩を踏み出すために必要な「3つの秘策」について、菅下さんが教えてくれる。
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新型コロナ・ショックの到来で、世界経済が次の景気局面に入ったいま、経済を動かす主な産業もこれまでの重厚長大型の大企業、大銀行などの「オールドエコノミー」から、デジタルやネットがけん引する「ニューエコノミー」へと変化している。そうした環境のなか、お金持ちを目指すのであれば、絶対に心がけるべきことがあります。私は証券マンとして米ニューヨークの金融街「ウォールストリート」やさまざまな業界の資産家たちと交流をもってきましたが、彼らには共通点がありました。
それは次の「3つのムダ」をなくすこと。1つ目は「健康」のムダ、2つ目は「時間」のムダ、そして3つ目は「人(人脈)」のムダです。
まず「健康」のムダについて。私は28才で大和証券から当時世界最大だった外資系証券のメリルリンチ(現在の社名は「BofA証券」)に転職し、その若さで秘書付きの個室を与えられるという厚遇に恵まれました。ただ、裏を返せば、それに見合うだけの利益を上げなければ、いつでもクビになるということ。だから、1日たりとも体調を崩して仕事を休むわけにはいきません。まずは健康でなくてはならないと心に誓い、それまでのように夜遅くまでお酒を飲むことをやめました。
その頃から、出光興産の創業者である出光佐三さんを見習って、3つの健康法を実践するようになりました。「朝風呂」「指圧マッサージ」「気分転換」の3つです。私はいまも春夏は朝4時、秋冬は朝5時に起き、バスタブに20~30分ほどゆっくり浸かるようにしています。入浴後は朝食を食べて新聞すべてに目を通す。そして朝8時30分から株式取引に臨むのが毎日のルーティンです。また、ジャンクフードは口にせず、硬すぎる食べ物や生ものは控えています。たばこも吸わず、酒もたしなむ程度。おかげで風邪もひかずに毎日仕事を続けられています。
「風邪は万病のもと」といわれますが、「風邪で運気が落ちて、結果的にお金持ちから遠ざかってしまうから、風邪を甘く見てはいけない」というのが私の解釈です。健康であることがすべてのベースとなりますから、体調管理には人一倍気を使ってほしいもの。コロナ禍ですから、なおさらでしょう。