「2021年は『人とお金が集まるところ』に近づくことが、お金持ちへの第一歩です」──かつて世界最大の証券会社であったメリルリンチ証券で活躍し、世界の超富裕層〈スーパーリッチ〉にネットワークを持つ経済評論家・菅下清廣さんはそう説く。「人とお金が集まるところ」とはいったいどこにあるのか。コロナ禍の今、これまでとはまったく違う次元で「新しいお金のリテラシー」を知り、「富豪の思考」を身につければ、コロナ禍の逆風もチャンスに変えられる。「経済の千里眼」の異名を持つ菅下さんが、いま富を築くために必要なことを伝授する。
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新型コロナによって世界が一変した昨年は、倒産、閉店、失業などが相次ぎ、実体経済は壊滅的な打撃を受けたといわれました。厳しい現実に追い込まれているかたも少なくないでしょう。
その一方で、私の周囲のお金持ちからは「いま、フェラーリが人気で、買いたくても買えない」という声をよく聞きます。さらには、高級腕時計が売れている、都心の一等地では地価が上昇しているといった、とんでもなく景気のいい話が聞こえてきます。富める者はより富み、そうでない者はより貧しくなっていく。そうした「格差バブル」が、今年は膨らんでいきそうです。
「新型コロナ・ショック」によって景気が悪くなればなるほど、国は対策を打ちます。すると、日銀やFRB(米連邦準備制度理事会)をはじめ、世界中の中央銀行がかつてないほどの金融緩和を進める。各国政府は巨額の財政出動も同時に行います。そうして世界中でお金がばら撒かれていくのです。
バブルになる3つの条件は「金融緩和」「財政出動」「減税」です。すでにアメリカはその3条件を満たしています。あふれた大量のお金が株式市場へと向かい、米国株は史上最高値更新に沸き、日経平均株価も30年ぶりとなるバブル崩壊後の最高値を更新しました。そうした株価の高騰は今後も続いていくでしょう。すると、アメリカが牽引する格好で、2021年にバブルがピークを迎えるのはまず間違いありません。
誤解を恐れずに言えば、あなたが貧乏なままでいいというなら、まだ厳しい見通しが続く実体経済にしがみつけばいい。ですが、もしお金持ちになりたいのなら、お金がジャブジャブとうなっている、「人とお金が集まるところ」に行かなければ儲かるものも儲かりません。現在進行形で人もお金も集まっている「ニューエコノミー」に目を向けなければ、自分のお金も増えていかないのです。それが「格差バブル」を乗り越える唯一の方法でしょう。
実際、コロナ禍で失業したり、勤務時間が減ったり、テレワークで通勤時間が浮いたりした人たちの中には、「投資の勉強を始めた」という人が非常に多い。今後の日本経済を考えると、自分が働いて稼ぐのと同じぐらい、そのお金を上手に運用することが必要だと感じている人がそれだけ多いということなのです。