取材時の入店客は2組のみ。ビジネスマンの接待利用はゼロになり、客層は落ち着いた大人よりも派手な感じの若者が増えたという。キャバクラも苦しいが、ホストクラブも状況は変わらない。新宿歌舞伎町のホストクラブ『SINCE YOU…本店』の小田桐蓮総支配人はいう。
「現在の状況では20時からの営業を続けざるを得ません。これまでマスク着用や回し飲みの禁止等、真面目に対策してきました。歌舞伎町だけで約200店舗の飲食店が潰れたと聞いています。ウチだって1か月も休業したら、お客さんの気持ちが冷めて、店との関係が壊れてしまう。時短より、思い切って2週間の完全ロックダウンとかのほうが、公平で効果も大きいのでは。今回の時短営業の設定は特に水商売の人間に逆風が強い印象を受けます」
総支配人の小田桐蓮氏は、接客時もマスク着用を徹底。同店では入り口に設置された、消毒液のミストを噴射する「クリーンゲート」を通ってから入店する。
こうした状況について、日本水商売協会の甲賀香織代表理事はこう指摘する。
「前回の緊急事態宣言時よりも資金繰りに余裕がない店がほとんど。1日6万円の協力金では従業員の雇用を守れず、時短に応じられない店が続出しています。一方で休業する店の女性が困窮してパパ活やギャラ飲みなどに流れれば、感染が拡大するおそれもあります」
飲食店の取引先業者には最大40万円の支援金も発表されたが、焼け石に水。“瀬戸際の戦い”は、1か月後に終焉するのだろうか。
取材/西谷格、末並俊司 撮影/末並俊司、小倉雄一郎
※週刊ポスト2021年1月29日号