自転車を漕ぐ背中には、黒い大型のリュックサックに「Uber Eats」の文字。2度目の緊急事態宣言で再び注目が集まるフードデリバリーサービス・ウーバーイーツだが、配達員の間で問題が起きている。専用バッグ、通称「ウバッグ」の相次ぐ盗難だ。都内でウーバーイーツの配達員をしている20代女性が語る。
「トイレに立ち寄った際、自転車の側に置いていたウバッグがなくなっていました。商品が入っていなかったのに、なぜバッグだけ盗まれるんでしょう」
ウバッグは定価5000円。他のバッグでも配達には問題ないが、彼女は「フードデリバリーサービスが乱立するなか、ウバッグで配達することがお店やお客さんの信頼になっている」と、再購入するつもりだという。
とはいえ、雨風に晒され、汗なども染みこんでいて、お世辞にも綺麗とはいえなさそうなバッグがなぜ盗まれるのだろうか。別の40代配達員は次のように分析する。
「ネット上での転売目的でしょう。ウバッグは定期的にモデルチェンジされていて、現行品でも定価で売買されますが、旧型のウバッグでも値崩れしない。人気のある型は使用品でも定価以上の価格がついている。
また、旧型ほど“古参配達員”をアピールできるし、お客さんからチップをもらえやすいという話もある。配達員の数が増えているため、すぐに売れます」
運営会社に盗難被害について問い合わせたが、「配達パートナーからのご相談については公表しておりません」との回答。「シェアリング・エコノミー」(共有経済)の道は一筋縄ではいかないようだ。
※週刊ポスト2021年1月29日号