世界各国が新型コロナ禍に苦しみ、軒並みマイナス成長にあえぐ中、中国だけが順調に経済を回復させている。2020年の実質GDP成長率は2.3%。四半期ベースの成長率を順に並べると、▲6.8%、3.2%、4.9%、6.5%。第4四半期の成長率は2018年第3四半期に匹敵する。需要、供給(生産)ともに、正常な状態に戻っているといえよう。
なぜ、コロナ禍でも中国経済は強いのか。理由の一つは、政府の危機対応が速かったことだろう。2020年1月上旬の段階では、「武漢でSARSのような感染症が出た」とようやく話題になり始めたところであった。それが、同年1月23日には武漢市とその周辺都市を都市封鎖するに至っている。
感染者の隔離施設が足りないとわかると、武漢市はわずか10日程度で1000床を超える仮設病院を建設した。全国レベルで、検査キットの作成、増産技術を確立させ、充分な検査体制を敷いた。まず、できるだけ早く患者を見つけ、見つけたら患者とその濃厚接触者を特定し、それを隔離する。中国は、疫病専門家なら誰でも知っている対応策を忠実に行った。
景気を悪化させる根本原因に対処する一方で、悪くなる経済に対しては、真っ先に金融緩和と、零細企業、影響を受けるだろう業界への全面的な支援策を決めた。それと同時に、金融市場安定化政策を打ち出し、続いて新型インフラ投資を中心とした積極財政政策を実施した。
成長要因をみると、設備投資と共に、輸出が牽引している。
2020年の輸入は0.7%減(人民元ベース、以下同様)となる中で、輸出は4.0%増加した。後者について、月次でみると6月から12月にかけて7か月連続でプラスの伸びとなり、年間の額では過去最高を記録した。