来年は「月4560円」減額の推計
年金の計算に使われる実質賃金の変動率は3年分で計算され、今回の年金減額はコロナ前の2017~2019年に、いわゆる消費税増税不況で給料が下がった分が反映されたものだ。
実質賃金が大きく下がったのはその後、昨年(2020年)からのコロナ不況だ。
感染拡大が進んだ昨年3月以降、最新のデータが公表された11月まで実質賃金は少なくとも9か月連続して低下が続いており、とくに緊急事態宣言下の昨年5月は前年比マイナス2.3%まで落ち込んだ。
そうした賃金の大幅低下に伴う年金減額の実施は、来年以降になる。
「コロナの感染拡大で全国の企業で残業カットやボーナスカット、休業などが広がり、昨年から実質賃金が大きく下がっている。今年も1月から緊急事態宣言が出ているからこの傾向は続くでしょう。このままでは来年、再来年と続けて年金が大きく減らされることが懸念されます」(北村氏)
どのくらい減らされるのか。前述の厚生年金モデル世帯の場合、今年の年金減額は夫婦2人で月228円だが、仮に、コロナ不況が反映された実質賃金変動率がマイナス1%となれば、来年6月の支給分から夫婦の年金額は1か月あたり約2200円、マイナス2%なら毎月約4500円が削られる計算だ(他の諸条件が今回と同じ場合)。
減額率は今回の10倍にも、20倍にもなっていくのである。
※週刊ポスト2021年2月12日号