玲子さんによると、港区の高級スーパーで買い物をすると1回1万円はあっさり超えるとのこと。荷物をもって帰宅するのが大変だそうで、タクシー利用は日常茶飯事だったという。普段はママチャリで移動し激安がウリのスーパーでしか買い物をしない坂田さんからすると、次元が違いすぎてどう反応したらいいか分からなかったそうだ。
リアクションに困っていた坂田さんを更に困惑させるエピソードを、玲子さんは語り始めた。
「『現金しか使えないことにビックリ! キャッシュレス生活長いし、港区にはこんなシステムなかったから』ですって。苦笑いしかできませんでした」
野菜の無人販売所で野菜を購入しようとしたら、手元に現金がなかったと話す玲子さん。自宅まで戻って取りに行ったそうだ。その流れから他のママが、「小銭は持ち歩いていたほうが便利かもしれないですね」と話すと、玲子さんは波風を立てるような返事をしたという。
「『お義母さんの知り合いの農家さんだったから、今後はタダでいいよって! だから小銭問題は解決しちゃったんです〜』って言っていました。『……すごい! 良かったですね!』としか返せなかったです」
初対面の段階から差を見せつけられたような気持ちになったと話す坂田さん。内心、玲子さんも波長が合わないとガッカリしているに違いないと思っていたそうだが、実際は真逆だったようだ。
「『ここの児童館、すごくホッとするわ。港区の児童館では子供のお稽古事の話ばかりで……もううんざりだったのよ』と……。玲子さんの話から、港区で生活するのが大変なことは良く分かりました」
玲子さんが引っ越してくる前は、能力を引き出すことを目的とした幼児教室に通っていたとのこと。現在は自宅でできる総額100万円近い有名英語教材を使って、親子ともに勉強中だそうだ。
玲子さんとは住まいも子供の年齢も近い。坂田さんは「この先も付き合いが続いていくと思うと、ちょっと気が重い」とため息をついていた。まだまだ気苦労は続きそうだ。