昨年、春から夏にかけて「特別定額給付金10万円」が全国民に一律支給されたが、「10万円」の価値をどうとらえるかは人それぞれ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏(47)は、かつて会社員を辞めて無職だった時代(27~28歳時)、東京・渋谷で月9万円の予算内で生活を送っていたという。今から20年前、都心で「1か月9万円」の生活とはどんなものだったのか。中川氏が当時の家計の内訳を振り返る。
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当時、私が住んでいたのは東京・渋谷駅から徒歩20分ほどの「松見坂」という交差点の近くの家賃3万円のアパート(風呂なし、共同トイレ)でした。最寄り駅は東急田園都市線「池尻大橋」駅から徒歩12分ほどです。あるいは京王井の頭線「駒場東大前」も同じくらいでしょうか。
この頃、毎月支払っていた固定費は、だいたい以下の通りです。
・家賃:3万円
・携帯電話代:6000円
・固定電話代:2500円
・電気代:3500円
・インターネット代:3500円
・ガス代:1500円
・水道代:無料(家賃に込みだった)
この基本的な額で4万7000円です。ただし、この頃私は「飲み会に誘われたら断らない」ということを決めていました。飲み会自体は4000円のものが月に5回はありました。となると、これで合計6万7000円。
当時、無職だった私は、その時の貯蓄額から逆算して、「月に9万円しか使わない」と決めていたので、残りの2万3000円で普段の食費と交通費を何とかしなければならないのですが、移動手段については「すべて自転車」を心がけました。これによりゼロ円です。そして、食費については、マクドナルドがハンバーガーを「59円」や「65円」という激安価格で売っていたため、毎回10個ずつ買い、これを1回2個ずつの5食分にします。
当時は現在と同じく「1日2食生活」だったのですが、1食はこのハンバーガー×2個にする。まぁ、麦茶を一緒に飲んだりはしていたのですが、とにかく1日のうち1回の食事は激安で済みます。