相続人への結婚のためなどの生計の資本の生前贈与は、特別受益として遺産に加算した額(みなし遺産)で遺産分割されます。法定相続分による分割をする場合には、特別受益を受けていた人は、みなし遺産の法定相続分相当額から、生前贈与分を控除した残額しか取得できません。
そこで我先に現金の法定相続分を分配すると、不満のある相続人より、改めて遺産分割するように求められ、場合によっては分配済みの現金の返却の必要も生じます。
まずはヘソクリの発見を法定相続人全員に知らせ、分け方を相談するのがよいと思います。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2021年2月19日号