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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

直後に会社を辞めました… 私が経験した「月300時間残業」のリアル

 記者発表会の約2週間前から「会社宿泊生活」が開始しました。いよいよ本番が近づいているだけに、クライアントからも昼夜問わずオーダーが来る。同社の日本法人の担当女性も相当残業をしていたと思われます。

 23時、彼女から「今から午前2時までに、幹部社員が記者発表会当日にどう動くか、そのスケジュール表をエクセルで作ってください!」などとオーダーが来ます。

「いや、私、別の仕事今やっているので無理ですよ……」

 なんて言うも「U.S.の上司が2時までに出さなくては怒るんです!」なんて言われればやらざるを得ない。恐らく彼女は私以上にヒリヒリするような立場で仕事をやっていたのでしょう。かくして、別の仕事は後回しにし、彼女のオーダーに応え、なんとかこのエクセルファイルは完成させます。

 2時過ぎに彼女からは「無事に送れました! ありがとうございます!」とメールは来るも、私としては、この2時間以上、この作業に取り掛かっただけに、別業務が遅延している。そこで、朝の4時30分までその資料を作ることとなります。

 ようやく終了し、そのままデスクの下に潜り込み、電話帳を枕に寝始めます。そして朝7時、清掃に来た女性が「ほらほら、アンタ、起きなさい!」と起こしてくれ、私は「起こしてくれてありがとうございまーす!」とボケーっとしながら起きて再びこの外資系クライアント以外の仕事を開始します。9時30分の定時が近づくとポツポツと同僚がやってきて「おぉ、お前、今日も泊まりかぁ~」なんて特に驚くわけでもなく言う。

 毎日このような状況で、家に帰れるのは4日に1回。すぐに風呂に入り、1時間仮眠を取ったらすぐに会社に戻る。結局、10月15日から11月1日まで家に帰れたのは4回で、合計5時間ほどしかいられませんでした。

 こうした時を過ごした結果、この月は「残業300時間」となりました。

 しかし、この時、私は不思議と今でいうところの「ブラック企業」みたいなことは思いませんでした。むしろ「こんな、エキサイティングな仕事をさせてもらってありがたいな~」と思ったほどです。多分、あの時は感覚が麻痺していたのでしょう。

 そして記者発表会は大盛況のうえに終了、夜に会社に戻って残務整理をし、前日同様朝まで仕事をしたところで、“社畜の魔法”は解けました。途端に我に返って、「あ、この状態は異常だ」と思い、隣の席で私と同じく徹夜仕事をしていた女性社員にこう漏らしました。

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