コロナ禍で生活習慣も一変。リモートワークの普及やステイホームの奨励により、住環境を見直す機運は高まっている。賃貸物件に住む場合、一般的には「敷金・礼金」などの初期費用、賃貸契約の更新の際に支払う「更新料」といった費用が発生する。物件によっては初期費用や更新料を支払わなくて済むケースもあるが、こうした費用は不服を申し立てれば、支払いを拒否できるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
毎年1月に私の住むマンションでは、更新料を払わなければなりません。この更新料の意味がわかりません。何か法的根拠があって、支払わなければいけないのでしょうか。そもそも礼金・敷金の意味もわかりません。これまで私のように更新料の支払いに疑問を感じ、裁判にまで発展した事例はありますか。
【回答】
更新料は期間満了後の賃貸借の更新時に支払われますが、賃料の補充、前払いや賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む、複合的な性質を有するものです。
礼金は契約時に賃借権設定の謝礼として賃貸人に渡すお金です。敷金は賃料や賃借建物等を破損したときの修繕費用を担保するための預け金で、契約終了時に清算され、戻されることがあるお金です。これらはいずれも、契約書で定められているはずですから、注意して読むことが大切です。
借地借家法では、賃貸借の期限がきた建物に賃借人が住み続ける場合には、家主は正当な事由がない限り、契約更新を拒否できません。しかし、更新契約をしない更新(法定更新といいます)では、期間の定めのない契約となり、家主に正当な事由が備わったときは、半年の予告期間を置いて契約を終了させることができるという、やや不安定な状況になります。