平穏に継続して維持するのに更新料を支払い、更新契約を締結することが多く、契約書にも更新料の定めがあるのが普通です。建物賃貸借の期間が短く、権利の財産的価値も小さいので、更新料を支払う合理性がないとする見解があり、個人の賃貸借契約には、消費者契約法の適用があることから、1年毎に家賃2か月分の更新料の支払い約定が同法10条で禁じている民法の信義誠実原則に反するので無効と争った事件があります。
最高裁は、冒頭に記載した機能を持った更新料の支払いは経済的合理性がないとはいえないため、更新される期間等に照らし、高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、無効ではない、と賃借人の主張を退けています。更新料支払い義務が契約書に規定されている場合、よほど高額でない限り、支払うべきです。支払わないと、契約解除される可能性があります。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号