キャリア

「もう長生きしたくない」40代女性が振り返る氷河期世代の苦難のキャリア

 さらに、必ずといっていいほど結婚や出産の願望の有無が聞かれました。先輩からは、『結婚する予定です』とか『子供は欲しいと思っています』などと答えたら採用されない、と教えられました。それまでは、寿退社を目的に就職する女性も多かったようですし、男性を優遇していたのでしょう」(井上さん)

 井上さんは小さな印刷会社に採用されるも、経営難から数年で退職に追いやられる。次に就職した会社は大手ソフトウェア会社だったが、多忙でストレスが多く、鬱も発症した。

 現在は系列会社で契約社員として働いている井上さん。同年代の夫は、小さな通信会社にやはり契約社員として勤務している。それなら無理してまで働く必要はないと思われがちだが、井上さんには、働き続けなければならない理由がある。

「一時期、夫が体調を崩し、長期休職せざるを得なかったことがありました。そうなると、いつ収入が途絶えるかわからない、という不安が常に頭をよぎります。夫がいるからといって、私が働かない理由にはならないんです。子供を持つことを考える余裕もなく、今に至っています。

 もちろん同年代でも、家や車を購入し、何人も子供を産んで育てている人がいるのを知っていますし、時代のせいばかりにするつもりはありません。時代に翻弄されるのは、どの世代でもそうだと思いますし。なんというか、いろいろ諦めの境地です。どうせ年金だってアテにできないし、長生きするくらいなら、ピンピンコロリであの世にいきたい」(井上さん)

 将来に希望はなく、不安だけが襲ってくる。最後に井上さんは、「これから親の介護が来るのが怖い」と語った。氷河期世代の悩みが本当に深刻化するのは、これからなのかもしれない。

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