その際、介護の方針も決めておく。「在宅にするか施設に入居するか」といった希望も伝えられるのだ。また、特に財産をある程度所有している場合、認知症になったあとに家族が財産の中身を把握できないといったトラブルが起こりやすい。その場合は「財産目録」を作成しておきたい。
「遺産の種類や価格などについてまとめます。法律上作成する義務はありませんが、相続税の申告などの際に役立ちます」(前出・角田氏)
財産目録には不動産や預貯金、有価証券などの種類や価格、さらには負の財産を書き出し、不明なものについては空欄にしておいてもいい。これがあれば遺言書作成の負担も軽減できる。認知症とお金の問題は切っても切れない関係だ。資産を守るだけでなく、本人の意思を尊重するためにも、早めの対応が重要となる。
※週刊ポスト2021年4月1日号増刊『週刊ポストGOLD 認知症と向き合う』より