“渋沢マインド”で企業を立て直そうとしている例もある。
清水建設は2019年にリニア談合で営業停止処分を受けた後、不振に喘いでいる。コロナ禍の工事中断の影響もあり、2020年4~12月期の純利益は前年同期比25%減だった。
「現在、企業としての原点に立ち返ろうと『論語と算盤』を社是とし、渋沢の教訓を冊子にまとめ、社員はみんなそれを携帯しています」(渋沢史料館館長の井上潤氏)
企業には絶えず好調・不調の波が押し寄せる。特にコロナ禍では多くの会社が危機に直面している。井上氏は言う。
「渋沢が理想としていたのは短期的な利益追求ではなく、10年先、20年先の将来をより良くするための長期展望をもったビジネスです。もし渋沢が現代に生きていたなら、このコロナ禍で人々の生活を豊かにするにはどうするべきか、必死に考えていたはず。渋沢のDNAとはパイオニア精神そのものです」
令和の“青天を衝く”のはどの企業か。
※週刊ポスト2021年3月12日号