「昨年の1月くらいまでは、1か月に15~20本くらいはライブが出来ていました。しかしそれが徐々に減っていき、4月にはついにゼロになってしまいました。9月くらいから少しずつライブが再開されましたが、声がかかるのは20代、30代の若手ばかり。40代芸人の出番はほとんどありません。その頃から、頭に『解散』の文字がちらつき始め、精神的にも追い込まれていきました」
Bさんは、しばらくは飲食店のバイトで食いつないでいたが、コロナでそのバイトでも思うように働けず、家にいることが多くなったという。
「テレビをつけると、毎日のように『第7世代』の若手芸人が活躍していて、その姿を見ると辛くて仕方がありませんでした。でも、自分は彼らのように若くありませんし、過ぎた時間はもう戻ってきません。これからどうやって生活していくか、悩みに悩んだ末、ここで芸人として区切りを付けることに決めました。ライブ活動は一切止め、今はもともと興味があったYouTubeなどの動画制作の勉強に力を入れています。いつか、裏方として動画を制作することで、芸人として頑張っている人たちを支えられたらいいなと思っています」
売れていたザブングルの解散を引き金に、今後中堅芸人の引退がさらに増えていくかもしれない。だがその一方で、無名の40代芸人は見切りを付けてもすぐに他の職に就けるわけではなく、どこにも行き場が無いのが現状だ。辞めたくても、そのまま芸人を続けるしかない無名芸人は、今後どうなっていくのだろうか。
文■矢口渡(芸人ライター)