コロナ禍の「外出自粛」により、所有する自家用車の利用機会が減ったという人は多い。都内在住の70代男性が言う。
「コロナ前は季節ごとの遠出に加え、近所での買い物や通院などで当たり前のようにほとんど毎日乗っていたのに、この1年は週に1回も乗らない生活が続きました。ちょうど車検の時期だったこともあり、車を持つことの意味を考えさせられる1年でした」
保険や税金など、車を所有するためにかかる費用は大きい。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が言う。
「都内で1500ccクラスの車を1台所有する場合、維持費の目安は年間40万円程度です。その内訳は表の通りで、駐車場代や、任意保険、自動車税などが積み重なっていきます。これに加えて走行距離に応じたガソリン代がかかる。この1年は外出自粛で乗らなくなった分だけガソリン代は減りますが、固定費は決して小さくないのです」
もちろん、コロナ禍により電車やバスなど公共交通機関を利用する場合は感染リスクが生じる。その意味では「車」は重要な移動手段だが、外出の頻度そのものが減っているのであれば、「保有」にこだわる必要性は薄れる。自家用車を売却すれば、数十万円の年間維持費を浮かせられるだけでなく、売却費用を臨時収入とすることができる(車種や状態による)。
「買い物の一部は、宅配サービスで代替できるでしょう。例えばネットスーパーなら欲しいものをピンポイントで探すので、目についたものをカゴに入れてしまうような衝動買いを減らせる効果が期待でき、実店舗よりも節約できる傾向があります。
車を使う外出の際にはカーシェアリングを活用するとよいでしょう。街中の駐車場などを拠点に車を共同利用するサービスで、3時間利用なら料金は3000円弱、毎月2回利用しても年6万~7万円程度なので、マイカーの維持費より断然安く済みます。先ほどの1500ccクラスの車を維持するのと比べて約34万円削減できます。事業者にもよりますが、給油や洗車をすることで、料金が割引になることもあります」(同前)