子供の頃に、「将来の夢」を求められるシーンは多い。堂々と「私の夢はこれだ」と言うことができる人もいれば、その度に苦しんできた人もいるようだ。「夢」は持たなければならないのか。
将来の夢に関連して、こんな調査結果がある。第一生命保険が3月17日に発表した全国の小学生、中学生、高校生対象の「大人になったらなりたいもの」アンケートだ。結果は、男子はすべての年代で「会社員」が1位。女子でも中・高生で1位だった。
これに対して「安定志向」「社会の閉塞感」など様々な意見が飛び交うなか、「夢がない」「もっと夢を見よう」といった言葉も目立った。一方で、スポーツ選手や芸能人のように、叶えることが難しいものが“子供にとって正しい将来の夢”とする風潮を疑問視する声もある。
「僕が子供の時、将来なりたいものは『サラリーマン』って答えたら、みんなから笑われたことをよく覚えています。つまんねえやつだな、みたいな感じです。なかなかなれないような野球選手とか宇宙飛行士とかでないとダメ、みたいな謎の風潮に苦しみました」
そう打ち明けるのは、メーカーに勤務する20代の男性会社員・Aさんだ。会社員である今、“夢”を叶えているわけだが、なぜ会社員だったのか。
「まず、未来の自分を想像できなかったし、大した希望もありませんでした。運動も勉強もパッとしないし、特に何かになりたいと思ったことがない。強いていえば、親が自営業でずっと家にいるのが嫌で、スーツ姿の会社員が“大人”に見えて、カッコいいと思っていたくらいです」(Aさん)
30代の男性会社員・Bさんも、「夢は何か」と聞かれることに違和感を持ってきた一人だ。卒業文集の「将来の夢」という作文で、書きあぐねたことを振り返る。