一部の新興国経済が厳しい状況となっている。ブラジルは3月17日、政策金利である翌日物レポ金利をそれまでの2%から2.75%に引き上げると発表した。これは2015年7月以来の利上げである。ブラジルはアメリカに次いで新型コロナ感染者数(累計)が多く、新規感染者数は現在も増加傾向にある。
2020年10-12月期の実質GDP成長率は▲1.1%(前年同期比)に留まっている。2月のCPI上昇率は前月と比べ0.6ポイント高い5.2%となるなど、経済が低迷する中でインフレが進行している。インフレ目標(中央値)である4.6%を超えたことで、利上げを余儀なくされた。
また、トルコは18日、1週間物レポ金利をこれまでの17%から19%に引き上げると発表。2月のCPI上昇率は前月と比べ0.6ポイント上昇し15.6%となった。新型コロナ禍で主力産業の一つである観光業が大きなダメージを受ける中、厳しい引き締め操作をせざるを得ない状況だ。
そのほか、ロシアも19日、1週間物レポ金利を0.25ポイント引き上げ4.5%にすると発表した。これは2018年以来となる利上げである。2月のCPI上昇率が5.7%となるなどインフレが進んでおり、それをくい止めるための措置である。
各国とも利上げの直接的な要因はインフレの進行だが、インフレが進行する要因は通貨安や、国際原油、非鉄金属などのエネルギー、素材価格などの上昇だ。
通貨安の要因は複雑であり一概には言い難いが、足元ではアメリカ長期金利の上昇が大きなリスクとなっているとは言えそうだ。トルコ、ロシアについてはアメリカから制裁を受けており、資金が流出しやすくなっているということも大きく影響しているだろう。