東急ハンズに行くのは好きだが、「最近、ほとんど買うことがなくなった」と言うのは、IT企業に勤める20代の男性・Bさんだ。
「個人的に東急ハンズの商品は、高いと感じてしまいます。同じ商品でもアマゾンやドン・キホーテ、ドラッグストアなんかのほうが安いし、雑貨は100円ショップで売っているモノで代替することもできる。DIYなど専門的なモノもホームセンターの方が安い。品揃えを楽しむことはありますが、いいなと思う現物を見ても、いったんネットで検索して、値段を確かめてしまいます。するともっと安く売っているところが見つかるので、ほとんど買うことはなくなりました」(Bさん)
そうした声がある中で、東急ハンズに行く機会が多い人は、池袋店の閉店をどう感じているのだろうか。高校教師の30代の女性・Cさんは「サンシャイン60通りのアイコンが消えるなんて……」とショックを隠し切れない。
「高校も大学も池袋駅が最寄りだったので、学生時代は文房具や雑貨、コスメをよく買っていました。社会人になっても、家が池袋に近いので料理道具なんかをよく買いに行きました。友人の結婚式のため、ウェルカムボードなどの結婚式グッズを作る時や、クリスマス会の用意の時はやはりハンズが便利でしたね。店員さんに親身になって対応してもらいました」(Cさん)
そんな東急ハンズとともに育ったCさんは、その魅力をこう評する。
「ネット時代、何でも家にいて買えるようになりましたけど、新しいものとの出会いの場がどんどん減っているとも思うんです。そういう意味で、東急ハンズは貴重な出会いの場。お店の販売の仕方も実演販売で、モノとしっかり触れ合える。やはり自分の目で手で確かめることができることに魅力を感じます」(Cさん)
「大きければ いよいよ豊かなる気分 東急ハンズの買物袋」。1987年に出版された「サラダ記念日」の中で、俵万智はそう詠んだ。東急ハンズは1980年代、豊かな気分にさせる存在だったが、それから約40年経ち、環境は激変している。コロナ禍の苦境を経て、東急ハンズが復活できるのか、見守っているファンは少なくないだろう。