本土投資家、香港市場における主要投資家である欧米機関投資家は、足元の景気悪化をさほど意識していないといえよう。
そうした要因として、まず考えられるのは、各地の洪水の影響が深刻であり、また、一部の地域で高温酷暑となったことが挙げられる。民生部の発表によれば、全国で6000万人以上が被害に遭っており、直接的な経済損失は2000億元に達している。景気減速について、特殊要因があり、その分を差し引いて考える必要がある。
また、統計の細かいところをみると、悪い中でも評価できる点がある。
たとえば、サービス業、ハイテク産業の生産は増勢が続いている。投資では、エネルギー多消費産業の投資額は軒並み減少しているのに対して、ハイテク産業の投資の伸びは加速している。経済構造調整と経済のレベルアップが進んでいる。
さらに、新産業の成長が加速している。純電気自動車(EV)などの新エネルギー自動車の生産、ネットショッピング売上は高い伸び率となっている。
政府が力を入れている供給側改革では進展がみられる。石炭生産量、粗鋼生産量は減少しており、不動産在庫面積は5か月連続で下落している。6月末時点の一定規模以上工業企業の資産負債比率は56.6%で、前年同期比で0.6ポイント下がっている。供給側改革が進展しているから景気が減速しているのだといった見方もできよう。