はたして自民党は、目標を達成する気があるのだろうか。菅首相が陳謝したまさにその日、森喜朗元首相(83才)の女性蔑視発言に危機感を抱いた自民党の議員連盟「女性議員飛躍の会」の共同代表を務める稲田朋美議員(62才)らは、党本部で二階俊博幹事長(82才)らと面談。女性議員を党四役に起用することなどを求める提言書を提出した。
「改善を約束した」と報じられた二階幹事長。しかし、その翌日の自民党役員連絡会で、「役員連絡会や総務会を念頭に、メンバーではない女性議員をオブザーバーとして参加させる」との決定がなされた。オブザーバーとはたんなる「見学者」であり、正式な発言権は与えられないという。
「この方針は、二階幹事長が提案したものです。役員連絡会後の会見で二階幹事長は、『どういう議論がなされているか、(女性議員に)ご覧に入れようということ』と提案の意図を説明し、佐藤勉総務会長(68才)は、二階氏から『オブザーバー出席みたいなかたちで、(女性議員に)雰囲気を味わってもらって』と指示されたことを明らかにしました」(全国紙政治部記者)
女性議員には正式な発言権は与えない。その場にいて、雰囲気だけ味わえばいい──これを女性蔑視と言わずなんと言おう。こういった価値観を改めない限り「2020年代の可能な限り早期に30%程度」など夢のまた夢ではなかろうか。
「オブザーバー案」は党内外から批判を受け、3月15日、二階幹事長は党所属の女性国会議員との意見交換会をようやく開催した。提案から1か月が経っていた。三宅議員は率直な感想を漏らす。
「自民党は、社会全体の変化や国民意識の変化を充分にくみ取れておらず、時代遅れになっている部分があります。これは大変に憂慮すべきです」
稲田議員は「『これからどんどん変わるかもしれない』と期待した時期もありました」と話す。
「2014年の第二次安倍改造内閣です。女性活躍を掲げた安倍晋三前首相(66才)は、歴代最多となる5人の女性閣僚を起用したほか、党の政調会長や総務会長にも女性を抜擢しました。あの頃はすごく変わったな、という実感と、これから変えていこう、という気概があったんです」