生涯働く時代になったとはいえ、65歳から年金受給が始まるため、60歳を過ぎると完全リタイヤを意識する時期。改めて“なんとなく続けてきた習慣”を考え直したい。心理学者の諸富祥彦・明治大学教授が解説する。
「60代でも働き続けている人であれば、仕事関係の後輩や取引先のうち、年下の人への年賀状のような慣習はやめてしまうのがいいでしょう。若い世代にとって再雇用などで会社に残っている60代は大先輩にあたり、“年賀状をもらったら返さなきゃ”という義務感だけでやり取りが続いている可能性がある。自分から年賀メールにすれば、ありがたがられるのではないか。
目上の人にはこれまで通り年賀状を送ってもいいでしょう。御中元や御歳暮にもあてはまることです」
そうすることで、上の世代には不義理にならず、下の世代に疎んじられることもなくなる。
上手に「身軽な暮らし」へ移行するためには“一律にすべてやめることを避ける”のもポイントとなる。終活アドバイザーの吉川美津子氏はこう助言する。
「周りがやめるから自分もやめたということではなく、手紙や葉書を書くことをきっちりやっていきたい人は続ければいいと思います。みなさんの体験談を聞いていると、年賀状しか連絡手段がない相手には続けているという人が多い。相手によって分けて柔軟に考えている人ほど、老後生活をうまく過ごしている印象です」
※週刊ポスト2021年4月9日号