だが、たんなる数値目標では、以前と同じように「言葉だけの“やっている感”」で終わってしまうだろう。本気で女性議員を増やしたいなら、「クオータ制」を導入するという手がある。
「クオータ制」は、議員選挙において、候補者や議席の一定割合を男女に割り当てる制度のこと。すでに約120の国・地域で取り入れられており、2020年に国政選挙が行われた57か国のうち、クオータ制を採用している25か国は、女性議員の比率が平均27.4%あり、採用していない国より11.8ポイント高かったというデータがある。
稲田議員は、クオータ制の導入に賛成する。
「“男女問わず、能力があれば登用される”。それが理想です。しかし、そうやって自然体に任せた結果、日本の女性政治家は10%にとどまっています。抽象的な数値目標ではなく、ある程度の強制力をもった制度を導入しないと、女性議員を増やすことは現実的に難しいと思います。
諸外国は30年ほど前まで女性の政治参加は非常に少なかった。そこから、クオータ制を導入して女性議員を増やしました。日本は後れを取っているんです」(稲田議員)
クオータ制には、【1】議席の一定数を女性に割り当てる「議席割当」、【2】候補者の一定割合を女性または男女それぞれに割り当てる「候補者クオータ」、【3】政党による自発的クオータの3つがある。【1】【2】は憲法や法律で決め、【3】は政党が独自に取り組むものだ。
稲田議員は「比例候補のなかに『女性枠』を設けるのはどうか」と言う。現在は各界で身を立てた優秀な女性が立候補を希望しても、適当な選挙区が見当たらず断念するケースが少なくない。クオータ制は、そうした女性に政界の門戸を開くものにもなるはずだ。
ただし、ここでもやはり“壁”になるのは党内の根強い反対派だという。
「女性枠をつくると、それによって1つ議席がなくなるわけです。つまり、男性政治家にとっては、政治生命にかかわってくる話になるんですよね。女性議員を増やすこと自体には賛成でも、クオータ制導入には反対ということはよくあります」(稲田議員)
女性が生きやすい社会にするためには、女性政治家の存在は不可欠である。私たちは諦めずに声を上げ続けなければならない。
※女性セブン2021年4月8日