中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

何が違う?「いい東大卒」と「悪い東大卒」を分けるもの

「知識勝負」「マウンティング」が大好き

 さて、こうして社会からの「東大卒は仕事ができるはずだ」という偏見や「今、オレは東大卒を顎で使っている」といった復讐心から、何かと特別視されがちな東大卒の人々。私がこれまで出会ってきた中でも、たくさんのタイプの人がいました。まずは「悪い東大卒」のケースから振り返ってみます。

 特に感じたのが「プライドの高さ」と「何かと知識勝負を仕掛けてくる」という2点です。私が会社員を辞めてライターになった時に、複数人の友人で飲み会をやって、その中に東大卒のAさん(そこまで関係性は深くない)がいました。彼はこう言ってきました。

「おい、中川さぁ、お前、ライターになったっていうけど、語彙力大丈夫か? お前、中高アメリカで漢文も古文もやってないだろ? お前、『牽強付会』って言葉知ってるか?」

「えぇと、『屁理屈』みたいなものだよね」
「まぁ、そうだな……。じゃあ、コレ知ってるか?」

 ……といった感じで、いきなり「居酒屋のクイズ王」と化し、私が文章の書き手としてサラリーマンである自分よりも劣っている、というところになんとか持って行こうと考えているようでした。

 なお、職業的モノカキをこの20年やり続けた身としては、この業界で生き残るのに大切なのは古文と漢文の知識でもなければ、四字熟語や語彙力の豊富さでもない。「感じがいい」「締め切りを守る」「営業力がある」「発注主にガタガタ言わない」の4つだと感じております。そういった意味で彼のあの謎マウンティングは的外れだったと感じています。

 そうです。一部の東大卒はとにかく「知識勝負」「マウンティング」が大好きなんですよね。ただ、文II(主に経済学部)と文III(主に文学部)、そして理系の東大卒の人たちはそこまでではありません。文系の看板たる文I(主に法学部)出身者にその傾向が強い印象です。

 地方の公立高校のトップも東大に入りますが、彼らは地元では「無双」だったものの、東大に入ると「世の中にはこんなに頭が良いヤツがいたのか……」と唖然とします。そこからは謙虚になり、「いやぁ~、オレなんて馬鹿だよ……」と本気で言っている節がある。ただ、彼らは頭いいですよ。「能ある鷹は爪を隠す」を地で行っているのです。

 また、ダメ東大生で時々いるのが「オレは大学入学が頂点だった……」と感じている人間です。私と同世代の就職氷河期世代には、東大だからといって人気企業に就職することが叶わず、不本意な就職をした人も少なくありません。

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