社会で何かと注目されがちな東大生や東大卒の人たち。『東大王』(TBS系)といった番組が人気を博す一方で、東大出身の官僚が不祥事を起こしたら「なんのために東大まで行ったのか……」などとバッシングを受けるのも定番だ。それでは、「いい東大卒」と「悪い東大卒」を分けるものは何なのか? これまで多くの東大卒の人たちと出会ってきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏(非東大卒)が考察する。
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基本的に私、東大卒の人、好きですよ。これまで何百人もの東大卒の人たちと会ってきて、一緒に仕事をする機会も多いです。やっぱり頭はいい印象はありますが、たいていは「ごく普通の人」といった感じでしょうか。それなのに、どうしてメディアが過度に東大を持ち上げたりバッシングしたりするのかといえば、メディア関係者に私大出身者が多いからじゃないですかね。
私が広告会社の社員時代、時々、東大卒社員の陰口を叩いている人を目撃しました。いずれも私大出身者による発言です。
「アイツ、東大卒なのに使えねぇんだよ」
「正直、東大卒ってウチの会社に向いてねぇよな」
東大卒って広告業界やメディア業界にはある程度の人数はいるものの、非主流派であることは間違いないでしょう。東大は本来官僚を輩出するための大学で、現在でも金融、弁護士、コンサル、商社、メーカーなどが進路としては多い印象(特に文系)。一方、私大(特に早稲田・慶應)は、広告・メディアに多数の人材を輩出してきた長年の歴史がある。
そうなると当然、逆のパターンもあるわけです。以前、東大卒のキャリア官僚がこう言っているのを聞いたことがあります。
「私学の連中ってなんであんなに使えねぇんだよ」
同じことを言ってるわけですね。結局どちらが主流派か、ということがこうした発言に繋がっているのではないでしょうか。
かつて電通に入社して1年目でパワハラ等を理由に自殺した東大卒の女性社員も、上司から過剰に叱責されていたと報じられました。広告業界において非主流派である東大卒は、「お前らは優秀であってしかるべきだ」と思われているか反面、「お前は東大卒だろうが私の方がお前より仕事はできる」と扱われがちなのではないでしょうか。