例えば、コロナ禍により中国では日本以上に厳しく三密が抑えられている。そのため、人々が葬儀に集まることは難しく、それが葬儀サービスにとって大きな打撃となっている。その対策として、同社は葬儀サービスをクラウド化して、オンラインでの葬儀を普及させた。同様にオンラインでの法事、墓参りサービスなどを充実させることで、業績への悪影響を最小限にとどめている。また、こうしたサービスは、アフターコロナ下においても、新たな需要獲得のツールとして機能しそうだ。
営業形態としてはこの業界、どうしても待ちの営業となりがちだが、葬儀、墓地の生前契約で営業攻勢をかけるなど、積極的な売り上げ拡大にも努力している。
同社が主力とする上海地区は地価が高く、墓地の確保が難しい。そうした状況で一人当たりの墓地を大幅に小さくする技術が取り入れられている。同社は4月1日、上海青浦区福寿園において、一人当たりの区画が50平方センチ程度の“蔵晶苑”を正式に落成させた。この小さな区画には、遺骨を二度にわたり高温で焼結させ、小さな水晶状の石にして埋葬する。いわば、最先端のお墓である。
中国でもライフスタイルは目まぐるしく変わっており、それにつれて欲しいモノ、サービスも移り変わる。しかし、人が先祖を思う気持ち、儒教でいう「孝」の文化は依然として根強い。新規参入障壁は小さくないだけに、事業の安定性も高い。長期保有銘柄として注目する投資家も多いのではないだろうか。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動中。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。