職場の同僚や先輩からの突然の無視や陰口。こうした陰湿な嫌がらせは、多くの場合、嫉妬が原因だが、やられた方は精神的に大きな苦痛を感じるもの。仕事の妨げにもなりかねない嫌がらせを止めさせるには、どうすればいいのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
3か月前からパートを始めました。私の仕事ぶりが評価され、たくさんシフトを入れてもらえるようになりましたが、その分、古株のAさんのシフトが激減し、逆恨みされています。Aさんは「あの人は店長に色目を使っている」「男癖が悪い」などと、私の身に覚えのないことを言いふらし、嫌がらせをしています。店長に相談しましたが、「Aさんは仕事ができないのでシフトは増やしたくない」と言います。Aさんに嫌がらせをやめてもらうにはどうしたらいいですか。
(埼玉県・46才女性・パート)
【回答】
店長に色目を使うとか男癖が悪いなどということが公言されれば、あなたの評判を傷つけるので、Aさんの行為は名誉毀損の不法行為になります。また今後、職場でつまはじきにされ、一種のいじめにあう心配もあります。精神的にも参るでしょうし、仕事にも影響します。もしAさんが古株で職場に影響力を持っており、優越的な立場にあれば、典型的なハラスメントになります。
いじめで職場環境を悪化させては会社の損失ですし、いじめの結果、病気になるなど具体的な被害が発生すると、会社は職場の安全と秩序を維持する責任が問われます。適切な指導や配置転換などで対応できるのに、いじめの訴えを放置してそうした事態を招いた場合には、安全配慮義務違反で損害賠償の責任を負わされることもあります。
そこで多くの会社は、相談窓口を設けるなどして、職場でのハラスメントを防止しようとしています。しかし実際には、往々にして被害が起きるまで有効な対策が取られないことがあります。あなたの上司もそのようです。