三木さんも、改めて価値観の変化を予測する。
「家事を丁寧に行うことは美徳ですが、“家事ができない自分は恥ずかしい”ではなく、“家事ができる人はすごい”という価値観に変わっていくと思います。
女性に対する差別的な発言が白眼視されるように、近い将来は“家事は妻がひとりで手間暇かけてやるもの”という価値観は、時代遅れな考えだと見なされるようになるでしょう」(三木さん)
家事をやるかやらないかは個人が自由に選べる
お金を使って時間を買うことは恥ずかしいことではなく、充実して生きるために必要な投資──。奇しくも、コロナ禍による自粛生活が、こうした新たな価値観の浸透を後押しする形となった。家事研究家で、『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか 妻と夫の溝を埋める54のヒント』の著者、佐光紀子さんが語る。
「家族とともに過ごす時間が増えたことで、日本でもようやく夫婦の水平分業に近づきました。それを定着させるかどうかは妻次第で、もっともっと家事を夫婦でシェアする必要があります。
老後に妻が倒れたときに夫がひとりでも家事ができるよう、“将来の危機管理”のつもりで夫を鍛えるといいでしょう。家事ができるようにするのは、夫自身のためなのです。それができれば、5年後には明るい未来が待っています」(佐光さん)
振り返れば、科学技術は人間の幸せのために発展してきた。
「今後はさらに技術が発展してさまざまなサービスが登場し、家事をやる、やらないは、ますます個々の選択に委ねられるようになるでしょう。その際、正解はただ1つではない。
何を選んで、何を選ばないかは人それぞれです。家事に手間暇かけてもいいし、お金と引き換えにラクをするのもいい。とにもかくにも、あなたと家族が幸せになれるような選択をしてほしい」(前野さん)
家電や家事代行は幸福になる手段であり、目的ではない。5年後に主婦の仕事がなくなる分、家族の幸せは増すと信じたい。
※女性セブン2021年4月29日号