長引くコロナ不況で、生活保護を申請する人が増え始めている。厚生労働省によると、昨年12月の生活保護の申請件数は全国で1万7308件と、前の年の同じ月より6.5%増加している。
生活苦で自殺者が急増している昨今、生活に困窮している人なら誰でも申請できる生活保護は、生きるための最後の命綱だ。だが、受給するためには家も車も手放す必要があり、預貯金があったり、年金をもらっていたりする場合は受給できないと思っている人も多いだろう。生活保護問題に詳しい「あかり法律事務所」の弁護士・小久保哲郎さんが話す。
「特にコロナ禍においては、厚労省が改めて生活保護の条件などを広報し始めており、従来とは違う判断がなされる可能性もあります。既成概念にとらわれず、まずは相談してみましょう」
また、国民年金だけでは最低生活費を下回る場合は、年金をもらいつつ、生活保護で差額をプラスする方法もある。いまは、申請に伴い役所が家族に連絡する「扶養照会」を廃止するための署名運動も展開されている。今後、さらに使いやすくなるような制度改革が行われることを期待したい。諦めるにはまだ早い。生活保護にまつわる様々な誤解を払拭するため、下記の12のポイントを紹介する。
【1】働いていて収入を得ている場合や年金受給者でも受給できる場合がある
「生活保護は無収入でないともらえない」ということはない。働いていても、給料が最低生活費以下なら、その差額プラスαの生活保護費が支給される。国民年金や厚生年金、各種手当てなどの受給者も同様に、その合計が最低生活費以下なら、不足分が支給される。下図のように、収入なしの場合は満額が支給され、収入がある場合は、その金額を引いた分が支給される。
【2】ネットカフェ暮らしや路上生活者でももらえる
「住民票がなく、納税義務を果たしていないと生活保護を利用できない」と思いがち。だが本来はホームレスでも、住民票がほかの市町村にある場合でも、現在いる場所の役所で生活保護を受けられる。
「法律で『現在住んでいる場所』『いまいる場所』で、生活保護は受けられることになっています。ただ、ホームレスに切符を渡して追い払おうとする自治体があるのも現実です」(つくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛さん・以下同)