住まい・不動産

地方移住の厳しい現実 憧れの古民家購入も法律で増改築できなくて…

古民家を見つけ家族で移住したのに…(イメージ)

古民家を見つけ家族で移住したのに…(イメージ)

 定年までは身を粉にして働いて、老後は都会を出て優雅な田舎暮らしを──そんな生活を夢見る人は少なくない。実際にコロナ禍によるリモートワークの定着によって、地方移住する人も増加傾向にあるという。

 ふるさと回帰支援センターの相談窓口で算出された移住希望地ランキング。2020年は、例年人気の高かった長野県を抑えて、静岡県が1位に。9位に神奈川県、10位に群馬県が入るなど、コロナ禍による働き方の変容が表れているようだ。

 だが、もちろん地方移住ならではの苦労は少なくない。体験者たちが地方移住で直面した、住まい・不動産に関する苦労やトラブルを紹介しよう。

鹿児島・32才・女性のケース

 貯蓄をはたいてようやく手に入れたのは築57年の一戸建て物件。内装はきれいにリフォームされているし、山の上から眺める景色は絶景。ひと目で気に入ったのですが、住んでみたら雨漏りがひどいのなんの。売買のときにきちんと屋根を見なかった私が悪いんですが、瓦がズレて、そこから雨漏りが発生していたんです。聞けば、瓦は50年に1度のペースで替えなくてはいけないそう。業者は内装だけ手を入れて、瓦は替えていなかったんですね。全体を改修するには200万円かかるというけど、もう手元に現金は残っていない。仕方なく、雨漏りがひどいところだけ修復していまはなんとかしのいでいます。

富山・67才・男性のケース

 定年退職したら、趣のある古民家で、長年の夢だったそば屋を開業したい、というのが私の夢でした。以来、休日を利用して古民家を探し続け、並行してそば職人の専門学校にも通いました。こうしてついに農家の古民家を見つけ、家族で移住をしたまではいいのですが……。

 あとになってその家が市街化調整区域(※)に建っていることが判明。農業に関係しない土地の使い方をしてはいけないだけでなく、増改築もできないと知り、そば屋の開店を断念。泣く泣く引っ越す羽目となりました。

【※都市計画法によって市街化が進まぬよう定められている区域。農地や森林を守ることに重点が置かれ、許可を得た場合を除き、原則として家の建築やリフォームができない。ただし最近は、各自治体ごとに、同域内でも規制緩和が進められている】

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