ランキング上位の企業に、ウイグル問題への見解を聞いたところ、TDKは「いかなる形の強制労働も明示的に禁止する」としたうえで、ウイグル人権問題への関与については、「調査の結果、強制労働の疑いがあるサプライヤーとは、当社グループのいずれの企業も取引がないことを確認しました」と回答した。村田製作所は期限までに回答がなかった。
日本ペイントHDはウイグル人権問題への見解については「コメントは控えます」とし、今後の市場展開については「中国市場自体は引き続き会社方針に基づき展開していく予定」と回答。
中国に大きく展開する日本企業が抱えるリスクについて、関氏はこう指摘する。
「ウイグル問題以外にも、チャイナリスクはある。台湾問題で米中間の亀裂が深まり、そこで日本政府が米国寄りの姿勢を強めれば、日本製品の不買どころか日本人駐在員の拘束まであり得るでしょう。企業は地政学的に日本の置かれた立場を考えながらビジネスをしなければならず、その舵取りは非常に難しい」
利益とリスクが背中合わせの中国ビジネス。日本企業は窮地に立たされている。
※週刊ポスト2021年5月7・14日号