新疆ウイグル自治区での人権問題を巡り、世界中から中国政府に批判の声が巻き起こるなか、弱腰な対応に終始している日本政府。その“平和ボケ”ぶりは、在中国日本大使館の実態にも反映されていた──。
外務省は4月2日の衆院外務委員会で、在中国日本大使館が現地の中国人282人を採用し、そのうち110人がビザ発給業務に関わっていることを明らかにした。
これは、ウイグル族の個人情報が中国当局に漏れることを懸念した国民民主党の山尾志桜里・代議士の質問を受け、公開された情報だ。
採用された282人のスタッフは、いったん中国外務省傘下の国有企業「北京外交人員人事服務公司」に登録され、中国全土の大使館・領事館に送られる。北京の日本大使館の85人が最も多く、以下、上海51人、香港43人、広州34人、瀋陽26人、大連16人、重慶15人、青島12人と続く。
中国人スタッフの採用人数の多さに驚かされるが、その業務内容も広範に及ぶ。外務省ホームページの募集要項によれば、
〇外交関係書類の接受、配達等
〇郵便荷物の接受、仕分け、発送等
〇総務部での物品調達、備品管理、OA機器保守・管理、会計業務補助、各種資料作成等
〇窓口業務、資料作成、パソコンによるデータ入力及び外部からの照会対応、通訳等
となっている。評論家・軍事ジャーナリストの潮匡人氏がいう。
「中国語が必要となる窓口業務だけでなく、外交書類やOA機器の管理、パソコン入力まで任せているのは問題です。
中国では、2017年に施行された国家情報法により、国民に政府の諜報活動への協力を義務づけている。パソコンへのスパイウェアの装着をはじめ、どんな情報流出が起こってもおかしくないのではないか」